【芭蕉自筆影印】
いてや 月のあるし尓 酒振ま者んといへ者 さ可つき持出多り よのつ年耳一めくりもお保きくして ふつゝ可なる蒔繪をし多り 都の人ハ 可ゝるものハ風情なしとて 手尓も婦連さり介る耳 おもひも可けぬ興耳入て 王・靑碗(セイワン)玉壺(?)の心ちせらるも 所可らな里
(いでや、月のあるじに、酒振まはんといへば、さかづき持出たり。よのつねに一めぐりもおほきくして、ふつゝかなる蒔絵をしたり。都の人は、かゝるものは風情なしとて、手にもふれざりけるに、おもひもかけぬ興に入て、青碗(セイワン)玉壺(?)の心ちせらるも、所がらなり。)